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どうか読んでください。そして、知ってください。新潟、柏崎の真実を。

行ってきました。

柏崎に。

新潟中越沖地震で最も被害の大きかった場所。

1ヶ月が経過したとはいえ、その生々しい爪痕はくっきりと残っていました。

ガレキの山。

まがった家。

歪んだ道路。


ひどかった。

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22日の深夜に友達の旭と合流してから出発し、柏崎に着いたのは23日の早朝。

仮眠をとってから、ボランティアセンターに受付に行きました。

名前を書いて、保険に入って、ガムテープに名前とか何ができるかとかを書いて服に貼って、それから待機。

実は今、ボランティアの数はすごく足りてて、待機していることの方が多いんです。

思ったより仕事がもう段々となくなってきてるみたいで。

やっぱり現地に行ってみないとわからないことがありますね。

避難所も閉鎖されて、みなさん仮設住宅への入居だったりとか、自分の家に戻って行ったりしてるんです。

ライフラインもほぼ全て復旧しました。

8月23日までに参加されたボランティアの数は16,000人超。

すごいですね。

俺が行った時も、教員だったり、会社の研修で参加してる人だったり、中学校の子たちだったり、以前柏崎に住んでいた人など、いろんな人たちがいました。

ボランティアセンターには、ボランティアの方々が書いていったメッセージが。

なんて素敵なんだろう。

あったかいよね。

全国からこうやっていろんな人が集まって、結束して、力を合わせてる。

まだまだ日本も捨てたもんじゃありません。

どうか読んでください。そして、知ってください。新潟、柏崎の真実を。_e0063625_12303100.jpg


ようやく回ってきた仕事の内容は力仕事。

Yさんという老夫婦が住んでいるお宅の、倒れてしまった石垣を直す仕事をしてきました。

現場へ向う車中、がれきの山をいくつも見ました。

表通りはきれいでも、一本中へ入ればまだあの時のままの建物もあったりして。

なんでも現地の人の話によれば、柏崎は比較的古い建物が数多くあるらしくて、それだけに被害も大きかったみたいなんです。

現場に到着。

家の表札が貼ってある石柱。

隣の家との仕切りになっていた石垣が、見事に崩れていました。

あんなに重いものが、こうも簡単に崩れてしまうとは。

地震の恐ろしさを改めて感じました。

作業は比較的スムーズにこなすことができ、無事に終了。

終わった後、Yさん夫婦が「ご苦労様でした。お腹すいてるでしょう? よかったら食べてください」と言って、アイス・お菓子・パンを持ってきてくださいました。

地震が起きてから1か月が経ったからとはいえ、そんなに余裕があるわけじゃないのに、俺らをまるで客人のようもてなしてくださって。

心がグッと締め付けられる思いでした。

地震が起きた時のことを伺ったんだけど、今回の地震はかなり横揺れが長かったようで。

最初に縦がズンってきてから、グワァァァァァって横揺れが続いたんですって。

若者がいる家ならまだいいけど、老夫婦2人きりだとすごく復旧作業も大変ですよね。

食器棚や本棚の片付けも本当に苦労されたんですって。

徐々に秋めいてきた新潟の日差し・風を浴びながら、メディアでは到底つたえきれない“柏崎の真実”を教えていただきました。

Yさん。

どうもありがとうございました。

またいつか会えたら、いいな。



帰りに魚沼によって、成人式ライブでお世話になった堀之内の職員の方々と再会。

幸い、魚沼の被害はほとんどなかったようで。

安心しました。

でね、お酒を飲みながらいろんな話をしたんです。

そこである職員の方からこんなお言葉をいただきました。

「遠いところからわざわざ新潟のためにご苦労様です。新潟が忘れられてなくて、本当によかった。ありがとうございます。」







そう。

そうなんです。

被災者のみなさんが一番恐れてること。

それは

『忘れられること』なんです。

みんなの記憶からあの忌々しい惨劇が忘れられてしまうことを、新潟のみなさんは恐れているんです。



“僕たちが 新潟に 何ができるか”


みなさんは何だと思いますか?


募金。


ボランティア。


物資を送る。


いろいろあると思います。

でも、もっと大事なことがあるんです。

どうか、この中越沖地震、そして3年前の中越地震を忘れないでください。

忘れられるってことが、どんなに寂しいか。

TVや新聞などのメディアは、事がある程度落ち着いたらその報道をやめます。

だけど、それで終わりじゃないんです!

ずっとずっと、みんな闘ってるんです!!

みんな知ってますか?

3年前の中越地震で家がやられ、今回の中越沖地震でまた被害に遭われた方がいたんです。

せっかく直って普通の生活ができるようになって、心の底から笑えるぐらいにまでなったのに、それをまた全て覆されたんです。

あなたは耐えられますか。

めげることなく、また立ち向かっていけますか?

どうか読んでください。そして、知ってください。新潟、柏崎の真実を。_e0063625_12303885.jpg


みんな知ってますか?

今年の夏休み、柏崎の子供たちは半数以上は何もできなかったんです。

みんな口々に「家の片付けばっかやってて、つまんなかった」って。

そう言うんです。

いろんな所に行きたかったろうに。

その言葉を聞いて、親御さんたちはどんなに胸が締め付けられるか。

考えるだけで苦しくなります。





みんな知ってますか?

この地震で大事なものを失った人がいっぱいいます。

大切な家族。

思い出の写真。

大好きだったおもちゃ。

ガレキにまみれるだけじゃなく、それが雨で流されて、奪われていくんです。

全て奪われた人だっています。

ある被災者の方は、雨の中復旧作業をしていて、泥の中からかわいらしいぬいぐるみが出てきたそうです。

それを拾い上げた時に「この持ち主の子、今頃探してるんじゃないかな」って、頭の中がいっぱいになったっておっしゃってました。





これが柏崎の真実のほんの一部です。

TVじゃこんな話絶対に知りえませんでした。

現地に足を運んで、初めてわかったことなんです。

俺はこの事実を知って、絶対みんなに広めようと思いました。

知った以上、何かしなきゃいけないって思いました。

今回の日記を読んで心に何か残ったみなさん。

どうか忘れないでください。

何か大きなことをする必要はないんです。

新潟を忘れない。

それだけでいいんです。

その1人1人の思いが、新潟の被災者の方々を救うんです。

どうか、お願いします。
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文;嵯峨桂馬(あおぞら)
# by hotletters | 2007-08-29 12:31 | 新潟レポート(new!)